7月の食品衛生重点チェック項目
対策 | チェックポイント |
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ゴキブリ対策 | 発生時期に備える(防虫施工および発生状況の確認) |
ハエおよび虫の侵入、混入対策 | 捕虫器の確認と設置、防虫カーテン確認と設置、ドアの開放放置禁止 |
食中毒への警戒 | 衛生レベルの引き上げと再確認を実施。ポスターや朝礼で注意喚起 |
保健所夏期一斉取締 | 製造許可証、衛生責任者手帳の準備 |
冷蔵庫、冷凍庫のメンテナンス | 冷蔵庫に負荷がかかる時季で気温上昇に伴い故障等が増加 |
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2020年(令和2年) 全国の食中毒データの分析・傾向・総括
1 2020年は、新型コロナウイルスにより7都府県に出された緊急事態宣言で飲食店での利用が減ったこともあって、全国の発生件数は887件(前年1,061件)と減少しましたが、患者数14,613名(前年13.018名)は増加しました。死者は3名(前年3名)前年と同数でした。患者数増加の原因は、6月と8月にその他の病原性大腸菌による大規模な食中毒があった為です。食中毒原因の内訳は、細菌性273件(30.8%)ウイルス101件(11.4%)寄生虫395件(44.5%)自然毒84件(9.5%)化学物質・その他・不明34件(3.8%)前年比では、寄生虫が増加しており、細菌性、ウイルスは減少しました。患者数の多い順では、細菌性9,632名(65.9%)ウイルス3,701名(25.3%)寄生虫395名(3.3%)の順でした。
2 病因物質別の発生件数の内訳は前年同様で、第1位アニサキス386件(前年第1位)第2位カンピロバクター182件(前年第2位)第3位ノロウイルス99件(前年第3位)でした。
3 患者数別では、第1位その他の病原性大腸菌6,284名、第2位ノロウイルス3,660名(前年第1位)第3位ウエルシュ菌1,288名(前年第3位)第4位カンピロバクター901名(前年第2位)順位が入れ替わっています。
4 患者数200名以上の事例数はその他の病原性大腸菌4事例、ノロウイルス3事例でしたが、その他の病原性大腸菌で2,548名が目立ちました。
5 ウイルスによる食中毒は1月から3月に多く発生が見られ、夏場の6月~8月は0件でした。大規模な事例としては、1月に長野県の旅館の夕食で309名、2月に福岡県の製造所の弁当で397名、12月に山形県の仕出し屋の弁当で559名がありました。新型コロナ対策でアルコール消毒が多く行われていますが、ノロウイルスには効果が期待できません(効果が期待できる製品もあります)。健康チェックや手洗いの徹底が重要です。
6 細菌性食中毒は、特に6月から10月の発生が多く、この5ヶ月間では197件の発生で細菌性食中毒の約72%を占め、また患者数では8,517名で約88%を占めていました。特にこの期間は細菌性食中毒に要注意であるとの結果で、食中毒予防三原則①菌を付けない(手洗い、器具の使い分けを徹底して二次汚染を防止)②菌を増やさない(温度管理の徹底、調理後は早く食べる)③菌を殺す(芯温75度1分以上の加熱、使用器具の塩素剤等による殺菌)を徹底する必要があります。
7 カンピロバクターによる食中毒は、発生件数は減少していますが相変わらず上位を占め、食中毒全体の約20.5%、細菌性食中毒の約66%を占めていました。年間を通じて発生が見られ、患者数が多い事例(10月東京都学校給食109名)もあり、鶏肉の加熱不十分や生食のほか、まな板等調理器具からの二次汚染が原因になることがあります。
8 腸管出血性大腸菌以外のその他の病原性大腸菌による大規模な食中毒が(6月大阪府の飲食店のチャーシュー及びラーメンで378名、8月兵庫県の飲食店の給食弁当で263名、8月東京都の仕出し屋の仕出し弁当で2,548名) 目立ちました。大腸菌の仲間は75℃1分以上の加熱で死滅しますので、食材の十分な加熱と二次汚染防止対策が重要です。
9 寄生虫による食中毒は、アニサキスが386件(前年328件)で食中毒全体の43.5%を占め、前年より増加しています。原因食品は、〆サバ、サバ刺身等でサバが多い傾向にありますが、アジ、イワシ、カツオ、サンマなど多魚種で発生しています。アニサキスは-20℃で24時間以上凍結すれば死滅しますので、シメサバは冷凍魚を使って作るか、製造後に冷凍保管すると良いでしょう。また、鮮魚を使う場合は、内臓にいるアニサキスが筋肉に移動しないうちに、なるべく早く内臓を取り除くことも予防策です。
10 原因施設別では圧倒的に飲食店が約42%と多く、旅館や仕出し屋を含めると約46%が飲食店でした。また、家庭を原因とするものも多く166件(約19%)で死者も3名出ています。