3月の食品衛生重点チェック項目
対策 | チェックポイント |
---|---|
ゴキブリ対策 | 発生時期に備える(防虫施工および発生状況の確認) |
ノロウイルス対策の実施確認 | 下痢風邪等の申告、手洗いの確認、器具類の殺菌状態確認 |
ハエおよび虫の侵入、混入対策強化 | 捕虫機、防虫カーテンの確認と設置、ドアの解放放置禁止 |
年度変わりの従業員教育の準備 | 新人社員・転属の従業員の受け入れ準備と手洗い、衛生管理等教育スケジュール作成 |
年度替わりの検査報告書・許可証の期限確認 | 自主検査の提出が必要か、営業許可を受けている施設は許可証の期限を確認 |
※書面についてのお問い合わせ等ございましたら御社担当までご連絡ください。
ウエルシュ菌食中毒について
ウエルシュ菌は旅館、仕出し屋、集団給食施設などで、比較的大量に加熱調理される食品を原因とすることが多い食中毒菌で、大量調理のため大規模な食中毒を起こすことがあります。年間を通じて発生が見られ、過去3年間(2018~2020年)の全国ウエルシュ菌食中毒は77件(32件、22件、23件)あり、患者数は計4773名(2319名、1166名、1288名)で、1事件当たりの患者数は平均62名と細菌性食中毒の中でも多くなっています。
過去3年間の患者数100名以上の事例
・2018年5月福島県172名(食事)、6月宮城県252名(調理食品)、6月京都府621名(事業所給食)、9月岩手県202名(仕出し料理)、10月愛知県109名(とんかつの卵とじ弁当)
・2019年3月静岡県437名(ローストビーフ)
・2020年2月愛知県179名(仕出し弁当)、2月東京都184名(チキンの煮込み)、9月埼玉県129名(海老とキノコのクリームスパゲッティ)
ウエルシュ菌の特徴
ウエルシュ菌は人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、酸素を嫌う嫌気性菌です。また、熱に強い芽胞を作るため100℃1時間加熱でも死にません。食品を大釜などで大量に加熱調理すると、ほかの細菌が死滅してもウエルシュ菌は生き残ります。一度に大量の食事を調理した給食施設などでの発生が多く、患者数の多い食中毒事件を起こします。更に、菌の増殖が速く、至適温度(43~46℃)に保管すると2倍に増殖するのに10分程度と、増殖が早いことで知られる腸炎ビブリオ菌に匹敵し、増殖したものを食べると腸管内でエンテロトキシンを産生し、食中毒を起こします。症状は水様性下痢、腹痛で発熱はなく、平均12時間位で発症しますが、入院することは少ないようです。
気をつけたい食品
カレー、シチュー、煮物等大量に加熱調理した食品の他、ローストビーフも事例があるので注意が必要です。
対策
病原体のウエルシュ菌が増殖してしまうような温度(20~50℃)で食品を放置するようなことが好ましくありません。ウエルシュ菌による食中毒の予防のためには、食品の温度管理をしっかりすることが大切です。
以下のことに気をつけましょう
1.加熱調理した食品を低温で保管しようとするときは、30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げましょ
う。(冷却開始時刻 、冷却終了時刻を記録すると良い)
2.加熱調理した食品を高温で保管しようとするときは、55℃以上(温蔵庫の温度は65℃以上)の温度で保ちましょう。
3.低温で保管した食品は、提供する前に内部温度(中心温度)が75℃以上になるように、再過熱しましょう。
4.室温の中で食品を長時間放置するのは止めましょう。
5.生の食品から調理済みの食品に細菌などが移らないようにしましょう。生の食品に使う包丁・まな板・皿等と調理済みの食品に使う包丁・ま
な板・皿等とは別のものにしましょう。同じものを使う場合には、よく洗って消毒してからにしましょう。
6.肉をスライスしたりカットする器具など食品と接触するものについては、使用後よく洗い、アルコールや熱湯等で消毒しておきましょう。
7.食品を扱う場所は、汚れやごみのない清潔な場所にしましょう。
8.食品を扱うときには、手をよく洗いましょう。特に生の食品を扱った後と調理済みの食品を扱う前は、注意して手洗いをしてください。