今月の食品衛生重点チェック項目
対策 | チェックポイント |
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カビ対策の実施 | 梅雨時期に入る前にカビの掃除と防止(防かび塗料の塗布)を行う。 |
ゴキブリ対策の強化 | ゴキブリは気温が20℃くらいに暖かくなると活動をスタートする。防虫施工および発生状況、駆除記録の保存ができているかを確認する。餌となる食べ物や生ゴミを長時間放置しない。 |
ハエおよび虫の侵入、混入対策 | 気温が上がり、害虫が発生し活発的に動く時期となるため、捕虫器、防虫カーテンが設置できているか確認をする。ドアの解放放置を禁止する。防虫網の破れがないかを点検する。納品時に異物の付着・混入がないかを目視で確認し、調理場・加工場への異物混入を防ぐ。傷み・汚れが多い食材は受け入れない。 |
気温上昇に伴う食中毒への警戒 | 発生件数が増加する時期となるため、ポスターや朝礼で注意喚起を実施する。冷蔵庫、冷凍庫等の温度設定を確認する。適切な温度で食材や調理済み食品を保管する。原材料受け入れ時はすぐに冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存する。検食が-20℃で2週間保管されているか確認する。 |
冷蔵・冷凍庫の温度と室温の確認 | 気温上昇に伴い冷蔵庫、冷凍庫の故障等が増加する時期となるため、温度設定を確認する。湿度や室温をチェックしエアコンや冷房器具を活用する。調理場は湿度80%以下、室温25℃以下、洋生菓子や要冷蔵品を扱う食品工場は湿度65%以下、室温20℃以下が目安となる。 |
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食品のカビ対策
高温で多湿な日本の夏の気象条件は、カビの生育にも好都合で、様々な支障をきたしています。アフラトキシンなどの毒素を産生するカビ、食品造りに使用される麹カビ、医薬品作りに使われるアオカビもありますが、食品に生えたカビは苦情の主な原因になっています。食品の自主回収の届出情報でも、カビに関するものが多く見られます。食品以外では、住宅の浴室、トイレ、台所などにもカビが生え易くなっています。カビが生えるとこのカビを餌とするチャタテムシなど虫の発生にも繋がってきます。今回はカビ対策についてふれてみたいと思います。
◆食品にカビが発育する条件(この条件の内、いずれかをカビの生育できない条件にする必要があります)
- 酸素→殆どのカビは酸素がないと増殖できません。これを利用したのが脱酸素剤を封入する方法や窒素ガスなどのガス置換、真空包装などです。しかし、包材にピンホールやシール不良、適正な包材の選定などを徹底しないと完全な抑制はできません。この方法はカビの発育防止のためで、殺菌ではありません。
- 温度→カビに適した温度帯は、一般的に15~30℃くらいですが、この温度帯以外では増殖のスピードが遅くなります。また、0℃でも増殖可能な種類が知られており、低温だけでは完全に制御できません。
- 水分→微生物が繁殖に利用することができる水(自由水)の割合を表した単位を水分活性(Aw)と言いますが、カビも水分が多いと増殖します。このため水分活性を低く(0.65以下)するとカビ発生が抑えられます。
- 水素イオン濃度(pH)→多くのカビの生育に最適なpHは、pH4~6で、弱い酸性域を好むようです。しかし菌種によっては、pH3~9の範囲(酸性からアルカリ性)まで生育可能です。
- 栄養分→カビも細菌と同様に栄養分がないと増殖出来ませんが、食品はそのものが栄養分ですからカビは発育します。食品以外では、ヒトの垢やホコリ、壁材なども栄養分となってしまいます。
◆カビが発生し易い場所
- 流し、排水溝などの水周り、天井、壁などの結露し易い場所、エアコンのフィルター、換気扇、冷蔵庫、冷凍庫などのパッキン、庫内のファンカバーなどの他、使用している木製の器具なども注意が必要です。
- カビを根本的に無くすには湿度対策が必要で、湿度43%を毎日3時間以上キープすると、カビは増殖をしないという研究データがあり、60%以下に出来ればかなり良くなるそうです。
◆製造施設等のカビ対策
- 温度と湿度管理→カビは温度20℃~30℃、湿度60%以上の環境を好むため、空調機器や除湿器を活用して温度、湿度を一定に保つ。
- 換気の強化→換気をしっかり行うことで、湿気上昇やカビの繁殖を防ぎます。空気の流れを確保するため、定期的に換気扇や排気口を点検し、問題がないか確認しておく。
- 定期的な清掃→食品製造室や調理場等は清潔に保つことがカビ防止の基本ですから、定期的に床、壁、設備の隙間などのほか、冷蔵庫やエアコンの内部フィルターや吹き出し口を定期的に掃除する。
- 原材料や外装の汚れは製造エリアに持ち込まない(ダンボール箱など)。
- 食品に直接触れる作業員は、定期的に手袋交換や手洗い、アルコール消毒を徹底する。
- 可能ならば、汚染区域、清潔区域を分け、汚染区域からの直接移動を制限する。
- カビの菌糸を除去するには、塩素を配合した洗浄剤や70%エタノールを使用しますが、隙間に入り込んだカビや天井などに付着したカビは専門業者に委託すると良いでしょう。
◆カビが生えてしまった食品
- カビは表面だけでなく内部まで菌糸が入り込んでいます。発がん性のあるアフラトキシンや造血機能障害、免疫機能抑制作用を起こすデオキシニバレノール等のカビ毒を産生する種類があるので、食べずに廃棄しましょう。
※2024年4月23日 初稿
※2025年4月22日 文書改訂
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